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第2回シンポジウム 海外で学ぶ〜資金調達編〜 セゾン文化財団議事録(その1)
JUGEMテーマ:演劇・舞台


2005年9月に実施した第2回シンポジウム 海外で学ぶ〜資金調達編〜で、グラントの説明をいただいた、文化庁、セゾン文化財団のお話を採録しています。
但し、プログラムの内容は、年度によって変わりますので、必ず最新情報を各ウェブサイトなどでご確認ください。
以下、情報は2005年現在のものです。
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後藤:
財団法人セゾン文化財団の久野敦子さんをご紹介にお願いしたいと思います。
セゾン文化財団は、現代演劇やコンテンポラリーダンスに関わっている方々は当然ご存知だとおもいます。もちろん、私たちも助成をいただいていますけれど、規模は大きくありませんが、大変意味のある活動をなさっている財団です。久野さんからあらためてご紹介いただこうと思います。

久野:
財団法人セゾン文化財団は、現代演劇、現代舞踊のジャンルに公募を限らせていただいておりますので、ご存じない方もいらっしゃるかもしれませんので、簡単に紹介させていただきます。1987年に設立された民間の財団で、堤清二というセゾングループの創始者が個人の資金を出資して設立されました。堤清二は辻井喬という名前で自身も小説や現代詩を書く芸術家でして、芸術に関心も造詣も深いので、芸術振興に役立つお手伝いをしたいということで、芸術支援の財団を設立したと聞いております。個人の財団ですので、基金が限られていることもあり、現在のところ現代演劇、現代舞踊のジャンルに公募を限定させていただいております。基本方針としては現代性、現代ものでなるべく若い世代を応援したい、それから国際的な活動、それも海外に出ればよいということではなくて、海外でも通用する実力を日本の舞台芸術にも期待していくということを掲げております。それらの方針に従って、プログラムを運営しています。

今日はフェローシップのプログラムの紹介ということで呼ばれました。セゾン文化財団の助成プログラムはいくつかのカテゴリーに分かれています。例えば、創造環境整備活動プログラムでは、ワークショップ、会議、シンポジウム、調査研究などの活動に助成をします。その他、芸術団体の活動全般にわたる支援、翻訳出版、海外でのシンポジウム、国際的な芸術交流などに関するプログラムもあります。フェローシップはこの中のひとつのプログラムなので、規模はそれほど大きくありません。

<アーツ・マネジメント留学・研修について>
私たちの運営しているプログラムの中にフェローシップ・プログラムは2つあります。1つはアーツ・マネジメント留学研修プログラムです。現代演劇に関わる国際的視野をもったアーツ・マネジャーの育成ということと、日本でのアーツ・マネジメント教育の普及ということ、この2つを目的に公募をしています。 
1987年に財団の活動を開始した時に、現代演劇や舞踊の世界が抱えている問題は何かということをリサーチしました。そのときに稽古場がない、資金が足りない、海外に出るときに情報が足りないなど、いろいろな問題が現場の方々からあがってきました。その中に、アーツ・マネジメントの専門家を育成する教育が立ち遅れているという声がありました。芸術作品が世の中にもっと出て行くためには、社会と芸術をとりもつ媒介者となるような職能を確立させていかなければいけないということで、制作者の必要性を感じ、フェローシップ・プログラムを設けました。そこで、まず、制作者のモデルとなる人物、リーダーを作っていこうと考えました。それで始まったのが、1992年から開始した、コロンビア大学フェローシップ・プログラムです。アーツ・マネジメントの教育を専門/体系的に実施しているニューヨークのコロンビア大学大学院のティーチャーズ・カレッジが優れたカリキュラムを持っているということでしたので、そこに毎年一人ずつ行っていただくことを始めました。最初に行っていただいたのは、現在の世田谷パブリックシアターのゼネラルプロデューサーの高萩宏さん。そのあとも5人続けて行っていただきました。国際的視野をもつアーツ・マネジャーとして、日本でアーツ・マネジメント教育の普及に努めていただくよう、帰国したらいままで学んできたことを還元してくださいね、ということが条件でした。実際、留学なさった方々は、現在この分野で幅広く活躍していらっしゃいますし、貢献してくださっていると思います。1995年からは、アーツ・マネジメント留学研修というプログラムを始めました。こちらは行き先を決めているわけではなく、もう少し自由な形でご自身のやりたいことを実現していただく、留学資金の一部をお手伝いするプログラムです。現在運営しているプログラムは、後者のアーツ・マネジメント留学のみでコロンビア大学のプログラムは休止しました。というのは、最近では、多くの大学にアーツ・マネジメントを教える学部が増えて、プログラムとしての役割は果たしたのではないかと思ったわけです。日本にいてもアーツ・マネジメントの教育を受ける制度が整ってきたということです。留学プログラムの条件ですが、アーツ・マネジメントの仕事がどんなものかというのをご自身で探っていただき、且つ専門家として深めてきていただきたいというのが私たちのフェローシップの目的になりますので、基本的に学生の方は対象外となっております。3年以上の専門分野の職歴があることが条件になっています。また、いったん行くのであれば3か月はインターンシップなどでしっかり勉強していただきたいので、3ヶ月以上の研修が内定しているということも条件です。帰国後、海外研修で得たものをどのように活かしていきたいかということをお聞かせいただくようお願いしています。これがアーツ・マネジメント留学研修の概要です。
(つづく)

芸術分野海外研修サポートプロジェクト : 2005・9第2回シンポジウム記録(セゾン文化財団) : 14:26 : comments(0) : trackbacks(0)
第2回シンポジウム 海外で学ぶ〜資金調達編〜 セゾン文化財団議事録(その2)
JUGEMテーマ:演劇・舞台


2005年9月に実施した第2回シンポジウム 海外で学ぶ〜資金調達編〜で、グラントの説明をいただいた、文化庁、セゾン文化財団のお話を採録しています。
但し、プログラムの内容は、年度によって変わりますので、必ず最新情報を各ウェブサイトなどでご確認ください。
以下、情報は2005年現在のものです。
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<サバティカル(充電・休暇)について>
もうひとつはサバティカルです。これは2004年から始めたプログラムです。サバティカル=充電休暇という名前のプログラムです。すばらしい作品の原点は豊かな創造性にあると考えました。創造性を伸ばしていくお手伝いには、どういう方法があるのだろうと考え、ひとつの方法として、アーティスト個人の経験をもっと深めてもらうことなのでは、と思ったわけです。翻って回りをみてみると、日本のアーティストは忙しすぎる、つねに新作を創らなければならない状況があって、いつも追い立てられている。そうすると、若いときに蓄積された豊かな感性が数年で使い尽くされて、疲弊してしまうアーティストがいるのではないかなと気が付いたわけです。それで「お休みしたら?」そういうような言葉をかけてあげるのも必要なのではないかな、と思ったわけです。私たちは小さな財団なので、助成の対象を非常に限定しています。その分、対象ジャンルの現代演劇・舞踊にとても近い場所で支援活動をしている。そのような立場にいる私たちしか「休んだら?」と言えないのではないかと思いまして、エネルギー補給・充電の旅の機会を差し上げるこのようなプログラムを立ち上げました。海外の文化、芸術に触れながら、今後の活動の展開のヒントを探ってきてもらえればよいなと。このプログラムには何の義務もありません。条件は、演出、振付、批評、プロデュースの専門家として3年以上のキャリアがある人で1か月以上の旅にでることをお願いしています。いまこのプログラムは伊藤キムさんというダンスの方が助成対象になっておりまして、まもなく世界一周の旅にでかけるとおっしゃっています。

<申請の手順と採択について>
申請の手順についてお話します。まもなく公募がはじまります。10月3日から申請エントリーを開始、書類を取り寄せていただいて、12月16日までに申請書を提出、それから面談があり、財団内で検討に入ります。3月中旬に結果がでます。渡航、研修終了後には報告書を提出していただきます。場合によってはviewpointという私どものニュースレターに報告を書いていただきます。
採択のポイントについてですが、自分の海外研修の目的を、説得力をもって語ることができるかにあると思います。自分のやりたいことに使命感をもっているか、海外研修を今後の活動にどのように活かしたいと考えているのか。そういったことをきちんと説明できることが重要だと思っています。それからさっきも言いましたように、海外で学んだ経験を日本の現場にフィードバックしてほしい、この人は何を、日本の現代演劇、舞踊の世界にもたらしてくれるのかな、ということに関心があるので、いろいろ、面談でお話を伺っています。それから大事なのは自分の言葉で語ること。いろいろマニュアルもでているので上手に申請書を書いてこられる方も多いのですけれども、面接のときにはどれだけ自分をアピールできるか、自分の持っている言葉で自分の思いのたけをうまく表現していただきたい。それから実現性ということが問われますので、計画はきちんと練っていただきたいと思います。

参考までに、今まで助成した方々をご紹介します。最初にコロンビア大学にいっていただいた高萩宏さんは「自分は『演劇界』に就職したと思って活動している、演劇界全体のために何ができるかということを常に考えている」とおっしゃって、私たちは非常に感動しました。また、韓国にいかれた木村典子さんという日韓の芸術交流に力を尽くしていらっしゃる制作者の方は、日本と韓国は近いので芸術交流は簡単に行えるのだけれども、舞台芸術においては、気付かない習慣の違いがたくさんある。例えば、日本のように数ヶ月も前から宣伝を始めないとか、前売りチケットを日本のようなかたちでは販売しないとか、楽日を決めずに上演を始めて評判がよければロングランしていく、というようなこと。日本は最初に全部きちんと決めておかなければ仕事をうまく進めることができない。演劇という同じ現場で気持ちは通じているのだけれど、手続き上のことで摩擦や誤解がおきてしまうのは残念だから、日本と韓国を両方知っている制作者が必要なんです、と熱く語って下さいました。お話を伺い、ぜひ韓国に行っていただきたいと思いました。

採択の件数は年度によってまちまちです。多いときには20人くらいの方が申請なさるときもあるし、少ない時は10人とか、2人とかいうこともあります。去年の例でいえば、アーツ・マネジメントの分野では2人の申請があり、一名が採択されました。サバティカルには8人の申請があり、1人の方に決定しました。該当者がない年もあります。逆に4、5人採択する年もあります。以上、私たちの財団でお出ししている2つのフェローシップのご紹介でした。

(つづく)

芸術分野海外研修サポートプロジェクト : 2005・9第2回シンポジウム記録(セゾン文化財団) : 14:25 : comments(0) : trackbacks(0)
第2回シンポジウム 海外で学ぶ〜資金調達編〜 セゾン文化財団議事録(その3)
JUGEMテーマ:演劇・舞台


2005年9月に実施した第2回シンポジウム 海外で学ぶ〜資金調達編〜で、グラントの説明をいただいた、文化庁、セゾン文化財団のお話を採録しています。
但し、プログラムの内容は、年度によって変わりますので、必ず最新情報を各ウェブサイトなどでご確認ください。
以下、情報は2005年現在のものです。
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<アジアン・カルチュラル・カウンシル> 
アジアン・カルチュラル・カウンシル、日米芸術家交流プログラムについてもご紹介します。私どもが直接運営しているフェローシップではなく、私たちの助成先、ニューヨークの、ロックフェラー財団系の財団のアジアン・カルチュラル・カウンシルが運営しています。日米間の芸術家交流に関わる部分について、セゾン文化財団が助成をしています。このフェローシップ・プログラムは音楽、演劇、舞踊など幅広い芸術分野全般が対象です。アーティスト、アーツ・マネジャー、学芸員、研究者が応募できます。大体1か月から半年くらいがフェローシップの期間です。渡航先は原則、アメリカ国内に限っていますので、アメリカに行く方のみが対象です。場合によってはアジアを回ってからアメリカへというプログラムも可能です。こちらのプログラムでは渡航費と滞在費が支給されます。ニューヨークでは住居を探すのは大変なのですが、こちらの財団がこのフェローシップのためにアパートを用意しているので、住居の斡旋もしてもらえます。研修費も出してもらえます。ビザも手配してもらえます。このフェローシップのプログラムの最大の特徴は、フェローシップに行きたい奨学生の思い通りの現地プログラム、カスタムメイドの滞在プログラムをつくってくれる、という点です。ニューヨークに行ってスタジオを借りて、作品を創っていろんな人に見てもらいたい、そういう希望を奨学生が持っているとします。そうすると、アーティスト・イン・レジデンスの場所を探してきてくれて、受け入れの交渉をしてくれて、発表したいものがあれば、色々な画廊のオーナーや美術館のキュレーターを紹介してくれる、面談の約束までとりつけてくれる、至れり尽くせりのプログラムです。ここは2月が締切りです。アジアン・カルチュラル・カウンシルに直接お問い合わせいただいてもよいですし、お訪ねになってもよいと思います。

<芸術文化助成財団>
もうひとつ。民間の芸術系の支援団体が集まった芸術文化助成財団の組織があります。日本では、芸術文化に助成している財団は23団体しかありません。その中で、芸術文化助成財団で、演劇と舞踊のフェローシップの助成をもっているのはセゾン文化財団だけですが、他の多くのところが音楽と美術のプログラムをもっています。こちらをあたってみるのも資金調達のお役に立つのではないのでしょうか。

後藤: 久野さん、どうもありがとうございました。お聞きのようにセゾン文化財団というのは現場に近いところで活動なさっている財団ですので、私たちが劇場にでかけますとしょっちゅう久野さんをお見かけします。フェローシップ・プログラムに関して、その時々の現場のニーズにあったものをどんどん作っていらっしゃるというお話がとても印象的でした。
最後にでたキーワード、芸術文化助成財団というのを検索するとよいかと思いますので、お書き留めいただければと思います。

以上


芸術分野海外研修サポートプロジェクト : 2005・9第2回シンポジウム記録(セゾン文化財団) : 14:23 : comments(0) : trackbacks(0)

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