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アーツマネジメントの海外研修やキャリア形成のための情報交流ネットワーク



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シンポジウム 海外で学ぶ 座談会「実現に至るまでに起こる問題と解決方法」(その1)
JUGEMテーマ:演劇・舞台


2004年6月に実施したシンポジウム 海外で学ぶ〜そのプロセスと成果〜 アートマネジメント編の第一部として行った座談会を採録しました。
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(その1)
●芸術分野海外研修サポートプロジェクトとは
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芸術分野海外研修サポートプロジェクトの後藤美紀子と申します。
本日は、進行を務めさせて頂きますので、どうぞよろしくお願い致します。

●芸術分野海外研修サポートプロジェクトとは

まず座談会に入る前に、私どものこの「芸術分野海外研修サポートプロジェクト」というものの説明を、少々させて頂きたいと思います。
名前を読んで頂ければそのままなのですが「芸術分野の海外で研修する方のサポートをしたい」、というプロジェクトです。

私は平成14年度の文化庁在外研修員でして、私と同じ年度にニューヨークに行った福井恵子、第2部で発表する平成13年度派遣の吉野さつきと3人で、自分たちがアートマネージメントの立場で実際に海外研修に行ってみて、どういう点が不便だったかを感じた上で、「なにか手助けが必要ではないか」と考え、こういったプログラムを立ち上げることにした訳です。
お手元の資料2に、私たちの考え方が書いてありますので、読んで頂ければと思います。基本的には、海外で研修をしようという方とこれまで研修に行った方の経験交流・情報交流を通じて、ネットワークを作って行こうと。今まで最低限のそういったものもなかったので、一人一人が開拓の苦しみを味わいながら行くという状況でした。そういったことに費やされるエネルギーや時間の無駄を考えると、なるべく研修の方に力を注いだ方が良いわけですから、情報の交流をすることで、何らかの解消をしていこうというものです。
今年はセゾン文化財団にご支援を頂き、当面は3年間のパイロットプロジェクトと考えております。今、文化庁等で、研修システムを考える高いレベルでの会議がありますので、そういった動きを横目で見ながら、中身を作る―私たちは、コンテンツクリエーターであると自負しておりますので―プログラムの中身を3年間で作り上げて、その後、私たちが独立した団体になるか、あるいはほかの団体に委託するか、安定して継続したサービスを提供するための基盤を考えていこうと思います。3年間で基盤を考えるということも、併せてやっていこうと考えております。
対象としては、たまたま私たちは文化庁在外研修の経験者ですが、必ずしも文化庁在外研修の希望者や、経験者のみを対象としている訳ではありません。財源やグラントは様々ですが、アートマネージメントないしは芸術分野で働こう、という志は一つだと思いますので、みなさんと情報を分かち合っていけたらと思っております。

まず初年度は、私たちが舞台芸術の分野=演劇、ダンスの制作をしているということで、まず得意な分野から少しずつ雛形を作っていって、次は違う分野=音楽、美術のアートマネージメントのほうに範囲を広げ、そこから各分野のアーティストに声をかけていこうと計画しております。今年は、こういった形のシンポジウム、成果発表会を何度か行いたいと思います。みなさんと顔を合わせて、実際のお話しをする機会があればいいと思っています。
もう一つは、ウェブサイトを立ち上げ、情報をどんどん公開していく予定ですので、そちらの方で詳しい情報を見て頂ければと思います。
私からの紹介をこのくらいに致しまして、座談会に移らせて頂きたいと思います
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芸術分野海外研修サポートプロジェクト : 2004・6第1回シンポジウム座談会記録 : 21:14 : comments(0) : trackbacks(0)
シンポジウム 海外で学ぶ 座談会「実現に至るまでに起こる問題と解決方法」(その2)
JUGEMテーマ:演劇・舞台


2004年6月に実施したシンポジウム 海外で学ぶ〜そのプロセスと成果〜 アートマネジメント編の第一部として行った座談会を採録しました。
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(その2)
●研修に行くまでに
●お金はどうする?

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●研修に行くまでに

後藤 秦さんは、どのような形だったんですか?秦さんは、イギリスのアートセンターにいらしたんですね?

秦 カーディフのチャプターアートセンターに行きました。カーディフは、ウェールズの小さな町です。

後藤 秦さんは、劇団で制作をされていますが、受け入れ先は劇団でなく、地元に根付いた形で活動しているアートセンターですね。アートセンターは、公共劇場と理解してよろしいのですか?

秦 そこが微妙で、その辺が実は研究対象だったとも言えます。チャプターアートセンターというのは、70年代に、地元のアーティストたちが廃校を使って自分たちのアトリエを作ったところから始まり、バーを作り、上映会を始め・・・という成り立ちです。プライベートな民間の団体で、それに対して助成金をもらっている形なので、公共の施設と言えば公共ですけど、民間であることが一つの特徴になっています。
 私が制作をしている劇団解体社が、これまで2回カーディフで上演した関係で、私は個人的に担当のジェームスと知り合いになりました。行っているうちに「すごくおもしろい。居心地がいいな」と思い、「じゃあ、ちょっと来てみない?」ということになりました。

後藤 秦さんは、劇団制作ということで実務のご経験がありますが、向こうでは毎日事務所に通ってお仕事をされていたのですか?

秦 そうです。チャプターに行く前に、3ヶ月間語学の研修をやりましたが、そのあとは、月曜日から土曜日、日曜日まで、休みの日があるわけではなくて、朝から夜までジェームスと一緒に働きました。電話番から資料作りからリサーチから、ミーティングに一緒について行ったり、すべて一緒にやりました。

後藤 千徳さんは、日本でずっとタイ演劇に関するお仕事をしていらっしゃいますが、向こうでの受け入れ先と、どんな形で研修をされたかということをご紹介頂きたいんですが。

千徳 私はもともと1986年、学生時代にタイに留学をしていましたが、その頃タイには現代演劇というものは、本当に無かったんですね。さっき後藤さんがご紹介下さったように、「赤鬼」の初演の時に、たまたまオーディションからずっとコーディネートということでお手伝いさせて頂いて、「タイにこんなに現代演劇ができてきたのか」ということに驚きました。それで実態調査をちゃんとしないといけない、そのためにタイに行こうと思ったんです。
 受け入れ先は、きちんとヴィザが出る招聘元であればどこでもいい。とにかく向こうに行ってから、毎日お芝居を見て、劇団を訊ねたりして、今の現代演劇の状況を知りたい―とそういうことで行ってきました。

後藤 福井さんの場合は、先のお二人が現場の制作であるのに対して、基盤整備のようなお仕事、もう少し広い意味で舞台芸術界に関わっていらっしゃいます。ニューヨークの受け入れ先と、どういう形で研修をなさっていたか、ご紹介頂けますか?

福井 私が行きましたのは、ニューヨークにあるコロンビア大学のResearch Center for Arts and Cultureというところです。実は、海外で勉強しようかなと本当に思ってから申請するまで、短期決戦でやってしまったので、もっとリサーチに時間をかけられたら良かった、というのが反省点なんです。下心としては「サッカーとダンスがおもしろいところに行きたいな」と思っていたんです(笑)。アメリカはそれほどサッカーが盛んではないのですが、なぜそこにしたかというと、私が仕事上やっていたパフォーマーの実態調査という大規模なサーベイがあるのですが、それとほぼ同じ様なフォームの研究をやっているおそらく世界唯一の機関なんです。そういうことが縁でメールを出しまして、受け入れ先に決まったということなんです。

後藤 どういう形で研修されていたかというのを伺いましたが、福井さんの場合には、その調査のメンバーとして、調査に加わっていたのですか?

福井 そうです。たまたま行っていた時期に、「ダンサーのキャリアトランジションに関する国際比較調査」という委託調査がそこの研究所におりていまして、そのプロジェクトに関わることが出来ました。私は元々ダンス畑のほうだったので、それはもう、渡りに船という感じで参加させて頂きました。
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芸術分野海外研修サポートプロジェクト : 2004・6第1回シンポジウム座談会記録 : 21:12 : comments(0) : trackbacks(0)
シンポジウム 海外で学ぶ 座談会「実現に至るまでに起こる問題と解決方法」(その3)
JUGEMテーマ:演劇・舞台

2004年6月に実施したシンポジウム 海外で学ぶ〜そのプロセスと成果〜 アートマネジメント編の第一部として行った座談会を採録しました。
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(その3)
●受入先はどうやって探す?
●もっとも深刻な問題、VISAのこと
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●受入先はどうやって探す?

 いずれにしても、まずは研修先探しが問題になります。とにかく受け入れるところが見つからなければ、お金があっても留学はできないわけです。研修先探しというのが実は意外とハードルが高いことで、これも実際自分でやってみなければ、ハードルが高いということが分からなかった、という面があります。

後藤 秦さんの場合には、海外公演などで、個人的に面識があった方が呼んで下さったということですね。

秦 はい。その点はすごくラッキーというか、問題なくいったのですが、一から探すとなると大変だと思いますね。

後藤 千徳さんの場合は、先ほどのお話で「どこでもよかった」ということでしたが。

千徳 たまたま86年に留学していた時からの知り合いが、タイ文化センターという日本の無償援助で作った国立劇場のようなところの公演部長になっていたので、彼女にお願いして引き受け元になってもらい、招聘状も頂きました。非常にラッキーでした。

後藤 やはり、組織を知っているというのではなく、キーパーソンを個人的に知っているというのが、キーポイントのような気がしますが。

千徳 そうですね。アーティストと違って、アートマネージメントの研修生は、受け入れても単なる邪魔者でしかない。私も冗談で「お前はスパイに来たのか」と言われるくらいで、はっきり言って邪魔なわけです。そこに受け入れて頂き、なおかつ招聘状を書くという非常に面倒なことを引き受けてもらうのは、面識もない相手にメール1本でお願いして手に入れられるものではありません。

後藤 福井さんの場合は、そういうサーベイの存在が最初からわかっていたということで・・・

福井 そうですね。実はそこのリサーチセンターというのは、セゾン文化財団が、過去何年かフェローを送っていたところなんです。その優秀なる先達のお陰で、日本人の研修生が来ることに非常に寛容だということがありましたし、ヴィジティングスカラーというのは、鴨がネギ背負ってやってくるようなものですから、向こうとしても歓迎だったんじゃないかなと思います。

後藤 客員研究員ということですね。こちらから学費の支払いをするので、向こうにとっては歓迎すべき相手ということなのですね。

福井 そうですね。学費はすごく高かったです。私は、日本では学費がとても安い大学に通っていたのですが、そこでの4年間分より高いくらいでした。200日のアメリカ滞在のうち、そこには1semesterしか在籍しなかったんですが。そのくらい高かったです。


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芸術分野海外研修サポートプロジェクト : 2004・6第1回シンポジウム座談会記録 : 21:11 : comments(0) : trackbacks(0)
シンポジウム 海外で学ぶ 座談会「実現に至るまでに起こる問題と解決方法」(その4)
JUGEMテーマ:演劇・舞台


2004年6月に実施したシンポジウム 海外で学ぶ〜そのプロセスと成果〜 アートマネジメント編の第一部として行った座談会を採録しました。
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(その4)
●語学、現地情報
●帰国後のこと
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●語学、現地情報

後藤 実現するまでの環境作りについてですけど、語学に関しては、アートマネージメントの分野で留学される方は基本的に必須ですね。
在外研修などでも、アーティストの方はよく、「言葉はできなくても大丈夫だったよ」というような話をされます。それが代々伝わって、なんとなく「できなくてもなんとかなるさ」という話が先輩方の伝説として伝わってくるのですが、実際行ってみて、言葉が通じなければつらいのは自分です。これに関しては、日常生活が出来るレベル、仕事の話がコミュニケーション出来るレベルでないと無理だと思います。秦さんも福井さんも、向こうに行かれてから、語学研修をなさったということです。

情報源に関しては、各大使館のサイトや大使館の留学センターのようなところがありますが、あとは、研修先探しにも大きく関わって来ましたが、大きいのは知人ですよね。それから経験者の方に生きた情報を頂くのがいいのではないかと思います。
ただ、先ほども申しましたように、立場が違う方もいらっしゃいますので、経験者の話を鵜呑みにしても、それはそれで困るとは思います。
演出家の鴻上尚史さんが「ロンドン・デイズ」という本を書かれていまして、例えば学費がいくらだったということまで書かれていて、1年間の在外研修の生活がよくわかる本です。私は個人的に、かなり参考になりました。

後藤 それから、現地への下見ですが、千徳さんと私は、同じ街に一度滞在した経験があるのですが、秦さんと福井さんは初めて行かれる街で、生活することになったわけですよね?

秦 何度もちょこちょこ行ったりはしていたんです。下見に行ったのは、向こうに居られる期間がそれほど無かったので、語学学校を―いろいろなレベルがあるそうなので、いいところに行きたいと思って―何カ所か見て決めるためでした。それは結果的には良かったと思っています。学校によってずいぶん雰囲気が違いますので。実際に、一クラス何人かということも含めてチェックできたので、良かったと思います。

後藤 福井さんの場合も、一度行かれているんですよね?

福井 そうですね。私はアメリカの大陸に行ったことが無かったので、ニューヨークは一度は事前に行ってみようと思い、夏休みに行きました。その時に、部屋も目星をつけて、決めて来てしまいました。

後藤 在外研修の場合もそうですけど、研修できる日程、特に在外研修は、一年間350日と厳密に日数が決められています。なので、そこで非常に事務的なこと、家探しとか電話・ガス・電気を引く、ということを全部やらなくてはならないとなると、かなり手間取るわけです。経済的に余裕があれば、下見に行くほうが望ましいですし、特に住居の場合、安全性ということは、現地に行ってみないとわかりませんから。日本で伝わってくる情報と現地の情報は全然違うんですね。やはり現地に行って、自分で確かめるほうがいいのではないかと思います。
 住居の問題ですが、特に現地での問題点として「住居」を挙げているのは、それだけ大きい問題だということです。私もパリで、1ヶ月間友だちの家のリビングに布団を敷いて寝てたんですが、それくらい仲の良い友だちがいれば1ヶ月でも家探しに時間をかけられますが、そうでなければホテル暮らしになる訳ですから、経済的にもかなりきつくなります。精神的にも落ち着かない面があるので、これは簡単には解決しない問題だと頭に入れておいて頂いた方がいいかと思います。
 荷物とか研修内容については、また別の機会に、改めてもう少し深くやりたいなと思っています。


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芸術分野海外研修サポートプロジェクト : 2004・6第1回シンポジウム座談会記録 : 21:10 : comments(0) : trackbacks(0)
シンポジウム 海外で学ぶ 座談会「実現に至るまでに起こる問題と解決方法」(その5)
JUGEMテーマ:演劇・舞台

2004年6月に実施したシンポジウム 海外で学ぶ〜そのプロセスと成果〜 アートマネジメント編の第一部として行った座談会を採録しました。
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(その5)
●質疑応答
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では、会場からの質問があれば、どうぞお手をあげて下さい。

質問者1 私は、演劇(畑の人間)ではないのですが。みなさんがご自身で、どこの国に行くかというのをどのように決められたかということと、学びたいことによって行くべき国があるような気がするのですが、そのあたりのことを・・・。

後藤 研修先選びは、個人的な人間関係が前提となっている、というお話がありましたが、秦さんは、そのあたりはいかがですか?

秦 国が先にあったわけではない、というのはあります。ただ結果的に考えると、イギリスという国をバックとしたアートセンターに興味を持ったという意味では、劇団の仕事でいろんな国を回る中で、イギリスという国をおもしろいと思ったということですかね。個人的に、好きなところがあった。

後藤 海外公演などで、実際に自分がそこに行ってみて、「好きだな」ということが前提となっているということでしょうか?

秦 アメリカに、「お金をあげるから行け」と言われてもつらいものが。

後藤 千徳さんの場合は?

千徳 タイとは長い付き合いですから。もちろん学ぶわけですけど、現状を知りたいということだったので。
私の場合、以前イタリアに行った時も、「スポレートフェスティバルというヨーロッパで一番古いフェスティバルがどう運営されているかを知りたい」という限定された目的で研修先を選びました。

福井 そうですね。私も、最初に申し上げたように、オランダとか違うところに行ってみたいというミーハー心はあったんですけど(笑)、やはり、仕事の内容で直結している部分がそこにあったという理由なんですね。あとは、リサーチにもっと時間をかけたかったというのが本音で、もっといろいろな情報を探せたかもしれないのですけど、自国語と違って読むのに時間もかかりますし、オランダ語は読めないし、英語の情報が中心になるということがどうしてもあると思うんです。
 ちょっと話が逸れますが、ニューヨークは、私費留学を含め、行ってらっしゃる方がすごくたくさんいらっしゃるんですね。それこそセゾンの助成金で行かれた方もたくさんいらっしゃるように、もうすでに優秀な人材がたくさん行っているところなんです。そこを選んでしまったプレッシャーはあって、その人たちの後から、わざわざ国費をもらって行くということを考え、その人たちがやっていない仕事というのを探さなければと常に思っていました。
 ですから、その先に何をしたいかということで行き先を探されるというのが、一つの基準になるかと思います。

後藤 私の場合は、言葉がわかったからというのが大きいですね。福井さんの言うとおり、文章を読むにしても芝居を見るにしても、言葉がわからないとつらいので。自分がわかる国、それからフランスの場合は、公共の文化政策がしっかりしている国なので、現状を見るということで、フランスでした。そういう意味で、フランスに行かれる方は毎年若干名いらっしゃいます。
 これでよろしいでしょうか?ほかにどなたか?

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芸術分野海外研修サポートプロジェクト : 2004・6第1回シンポジウム座談会記録 : 21:09 : comments(0) : trackbacks(0)

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